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今回は、2021年に読んだ本の中から
何冊か紹介したい。

選んだポイントは、どれだけ作品に入っていけたか。
結末が爽やかとか劇的とかは重視しない。
大作だが、説明が多かったり、だらだら長いものはアウトにした。

振り返ってみて、最初に思いついたのは、
大沢在昌「海と月の迷路」だった。
長崎の軍艦島で起こった不可解な溺死の真相を追う警察官の話だ。
 
石炭採掘のために開発が進んだ軍艦島は、
南北320m、東西120mの小さな島で、
1960
年頃は5000人以上が住んでいた。
住民は、炭鉱関係者(炭鉱関係者相手の産業も含む)と
その家族のみだった。
面積が狭いので、建物は高層化し、
日本初の鉄筋コンクリート造りのアパートもあった。

地理的にも人間関係も極めて閉鎖的で、
隠ぺいと理不尽が蔓延する世界が克明に描かれていた。
旅行願望が薄い私だが、軍艦島は行ってみたい。

長浦京「リボルバー・リリー」も圧のある作品だった。

1910
年代の東京が舞台で、主人公は元スパイの女性。
彼女は、軍によって家族を殺され一人の少年を救うため、
軍と戦いながら逃避行をする話。

展開が早い、緊張が途切れない、文章にエネルギーがある、
登城人物のキャラクター設定が巧いなど、
じっくり入り込んで読める、
ハードボイルドでミステリアスな作品だった。

毎年、初めて作品を読み、ちょっとはまる作家に出会うが、
2021年は「原田ひ香」だった。
「ランチ酒」が面白かったので、他の作品も3冊読んだ。

「ランチ酒」は、深夜に働く主人公の女性が、
仕事帰りの昼食に、アルコールも注文するという設定で、
美味しいものを求めて、電車で昼食に行ったりもする。

食べ物の説明が上手だし、それを食する背景づくりも良い。
そこに人間関係などの厄介ごとが絡み、面白く読めた。

河崎秋子さんも2021年に出会った作家だ。
北海道在住で、北海道を舞台にした作品が多いので気になっていた。
「土に贖う」は、心が揺さぶられる作品だった。

明治から昭和にかけて、北海道の各地にあった様々な産業の
盛衰を描いた7作の短編で、
別海(ミンク)、北見(ハッカ)、江別(レンガ)、桑園(養蚕)
などが舞台になっている。

どの作品も昔の北海道での厳しい生活が目に見えるようで、
というより、息遣いや、匂いや温度が感じ取れる、
そんな迫力のある作品だった。
「2021年の一冊」と聞かれたら、この作品だろう。

このほかでは、久しぶりに薬丸岳さんと木内一裕さんの
作品を複数読んだ。
薬丸さんは「誓約」木内さんは「嘘ですけど、何か」が、
特にどんどんページをめくらせてくれた。
近藤史恵「私の命はあなたの命より軽い」
伊藤朱里「きみはだれかのどうでもいいひと」も面白かった。

                  ◆

時々、読書をするために、ローカル線の電車に乗りたくなる。
人がまばらでなければ乗りたくないので、札幌発着は不可だ。

2020年に、秋の終わりに岩見沢―苫小牧を試してみたら、
なんとも言えずリラックスできた。

まあまあ近場でいえば、倶知安-長万部や、滝川―富良野に
乗車したいのだが、スタート地点に行くだけで結構な手間だ。

札幌に住んでいると、
人がまばらな電車に乗ることは贅沢なのだと感じる。
そこに行くまでに、時間とお金を使うだけではなく、
わずかな乗客のために運行するのに、
多額の経費がかかっているわけで。

非効率なことって、実なすごく贅沢で、
でも、効率的なだけじゃ、味わいが薄くなったり、
逆にわかりにくくなったりして。
しかし、非効率のために、
そんなに税金を使っていいんですか、となるわけで。

人口減少にしても、ある種の非効率を生むが、
人口減少をほんの少し食い止めるために、
多額のお金を使うことも非効率なわけで。

本の話のはずが、電車の話をして脱線したので、今日はここまで。

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